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​研究概要

健康を対象とした心理・行動科学(行動医学)は、社会文化、心理社会、行動、生物医学に関する知識と技術を集積統合した学際的な学問です。

人の心理・行動そして健康は、個人要因のみで説明されるのではなく、様々な社会環境要因によっても規定されています。

 本教室では社会における様々な要因と健康の関係を、疫学研究手法を

用いて把握し、心理・行動科学理論を用いて解明するマルチレベルな実証研究を行っています。

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​主な研究分野

健康の社会的格差

健康格差についてエビデンスは近年蓄積されつつあり、日本においても欧米と同様に社会経済的状況による健康格差が多くの健康指標においてみられています。当教室においても、これまでに日本における精神健康、健康行動、自覚的健康感、循環器疾患発症リスク、身体機能障害、死亡リスク等の社会階層間格差に関する研究を行ってきました。しかし、観察された健康の社会格差のメカニズムは未だ明らかではありません。現在、健康格差を生成するメカニズムについて心理・行動科学理論を用いて解明することを目指した研究を実施しています。

居住地域環境の健康影響

健康の社会格差は個人の健康リスク要因の検討のみでは十分に説明することが出来ません。本教室では個人の健康決定要因に加えて、地域・居住地の特性が人々の健康に関与している可能性を検証する研究を進めています。たとえば、地域貧困度と総死亡、疾病別死亡、疾病発症との関連を縦断的に検証し、そのメカニズムの解明のため、同定された地域要因と健康行動要因、社会心理要因、生物学的疾病リスク因子の関連を分析しています。地域環境要因から個人の健康に至るメカニズムを検討することは、予防医学的見地から健康の地域差を理解し、その縮減を図る上で緊要な社会医学的課題であると考えます。    

ジェンダーの健康影響

日本社会における社会的性差の背景にある「性別役割分業規範(男が外で働き、女は家庭)」がどのように健康・健康格差に影響与えているのか、また、そのメカニズムを検証することを目的とした社会疫学研究を実施しています。家庭や仕事に関する要因と社会的環境の健康影響ならびにこれらの要因の相互影響における性差を分析し、健康における性差生成メカニズムの理解を進める研究を実施しています。

上記の観点から社会要因が個人の心理や行動にどのように作用し、健康に影響を及ぼすのかというプロセスを検討することにより、人間と社会の係わりについての理解を深め、健康格差の縮減へのエビデンスを提供していきたいと考えています。

文部科学省研究補助金

  1. ユニバーサルアプローチに基づく子育て支援対策における健康格差の実態把握と実践研究.(代表 植田紀美子)基盤研究(C)2022-2024年度.(分担研究者:本庄)

  2. 市民参加でつくる「住むだけで健康になるスマートシティ」.(代表 伊藤ゆり)挑戦的研究(萌芽)2022-2023年度.(分担研究者:本庄)

  3. 母親の就業が家族本人・家族に与える健康影響を明らかにする社会疫学研究.(代表:鈴木有佳)若手研究. 2021-2023年度.

  4. 子育て期の女性と子どもの健康に影響を与える子育て環境要因を把握する社会疫学研究. (代表 本庄かおり)基盤研究(B)        2020-2023年度.

  5. 東アジアにおける健康と社会の持続可能性に関する総合的研究.(代表 岩井紀子)基盤研究(A)2020-2022年度.(分担研究者:本庄)

  6. 長期コホート研究による細菌・ウイルス感染の認知症発症への関与の疫学的解明.(代表 磯博康)基盤研究(A)2018-2021年度.     (分担研究者:本庄)

  7. 軽度認知障害における性差・社会心理学的機序の解明に関するコホート内症例対照研究.(代表 野田愛)基盤研究(C)2019-2021年度.  (分担研究者:本庄)

  8. 理論に基づく健康アウトカムに鋭敏な日本社会における社会階層の測定法と分析法の探索.(代表 堤 明純) 挑戦的研究(萌芽)    2018-2019年度.(分担研究者:本庄)

  9. 育児・介護を含む家庭内役割と健康との関連を明らかにする社会疫学研究. (代表:鈴木有佳)研究活動スタート⽀援.2018-2019年度.

  10. 女性における社会的健康格差と格差縮小アプローチ把握のための社会疫学研究. (代表:本庄かおり)基盤研究(C).2017-2019年度. 

  11. 動脈硬化進展における性差・社会心理学的機序の解明に関する前向きコホート研究. (代表:野田愛)基盤研究(C).2016-2018年度.     (分担研究者:本庄)

  12. 少子高齢化における文化的影響に関するエコロジカル研究. (代表:廣川空美)基盤研究(C). 2016-2018年度. (分担研究者:本庄)

  13. 性別役割分業規範の健康影響とそのメカニズムに関する社会疫学研究. (代表:本庄かおり)基盤研究(C).2014-2016年度. 

  14. 社会環境から個人要因への認知症発症プロセスの解明に関する社会疫学研究. (代表:磯 博康)基盤研究(A). 2014-2017年度.      (分担研究者:本庄)

  15. 学生海外渡航時のリスク管理(予防・対策)に関する研究.挑戦的萌芽研究. (代表:大橋一友)2014-2015年度. (分担研究者:本庄)

  16. オセアニア・南アジアの労働者。低所得における生活習慣病の実態と社会的危険因子. (代表:青山温子)基盤研究(A).2013-2015年度.    (分担研究者:本庄)

  17. 世界精神保健日本追跡調査:地域住民における精神疾患の10年間のコホート研究. (代表:川上憲人)基盤研究(A).2013-2015年度.     (連携研究者).

  18. 地球環境と個人の健康決定要因の相互健康影響解明のための  社会疫学研究. (代表:本庄かおり)基盤研究(C).2011-2013年度. 

  19. 社会疫学による健康格差のメカニズム解明 (代表:川上憲人)新学術領域研究(研究領域提案型). 2011-2016年度.(連携研究者:本庄)

  20. 社会心理要因から循環器疾患に至るプロセス解明のための社会・健康科学融合研究. (代表:磯 博康)研究(A). 2010-2013年度.      (分担研究者:本庄

  21.  社会疫学による健康格差のメカニズム解明.(代表:川上憲人)新学術領域. 2009-2013年度. (連携研究者:本庄) 

  22. 高齢者における身体機能障害の社会階層間格差とそのメカニズムに関する研究, (代表:本庄かおり)基盤研究(C). 2008-2010年度. 

  23.  職業階層と健康格差の関連性およびその機序としての職業性ストレスに関する疫学的研究. (代表:堤明純)基盤研究(C).2007-2009年度.         (連携研究者:本庄)

 

厚生労働省科学研究費

  1. 健康無関心層のセグメント化と効果的介入手法の検討:ライフステージに着目して. (代表:福田吉治)厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業. 2022-2025年度. (分担研究者:本庄、鈴木)

  2. 女性の健康における社会的決定要因に関する研究:日本人女性の特異性. (代表:野田愛)厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業. 2016年度. (分担研究者:本庄)

  3. 女性の健康における社会的決定要因とライフスタイルに関する研究. (代表:林扶美)厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業. 2016年度. (分担研究者:本庄)

  4. たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究. (代表:片野田耕太)厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事事業2016年度.(分担研究者:本庄)

  5. 東アジア、オセアニアにおける生活習慣病対策推進のための学際的研究.(代表:青山温子) 厚生労働科学研究費補助金地球規模保健課題推進研究事業. 2012-2014年度. (分担研究者:本庄)

  6. 行動科学に基づいた喫煙、飲酒等の生活習慣改善のための指導者教育システムの確立に関する研究.(代表:中村正和) 厚生科学研究費補助金健康科学総合研究事業. 2000-2004年度. (分担研究者:本庄)

 

その他

  1. 薬剤耐性最近発生機構の解明と食品管理における耐性菌モニタリングシステムの開発.(代表:山本容正) SATREPS. 2011-2016年度. (連携研究者)

  2. 健康の社会決定要因に関する日英比較研究. (代表:本庄かおり) グローコル共同研究プロジェク. 2010-2011年度. 

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